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2006年10月31日 (火)

■ゆふいんの森号で行こう■

■ゆふいんの森号で行こう■
(まちの風 四季の色~小椋知子便り)
※2004年11月20日読売新聞西部本社 夕刊一面掲載

 秋の温泉に行く計画を立て、友人と一緒にJR博多駅であこがれの列車を待った。グリーンの美しい列車がホームに滑り込んできた。観光列車「ゆふいんの森号」だ。
Yufmori
(写真/ゆふいんの森号は快適で楽しい旅を提供してくれた)

 車内は、家族連れ、熟年夫婦、女性同士のグループでにぎわっている。私たちは乗車して間もなく、ビュッフェで「ゆふいんの森弁当」を購入。メニューは由布院や久住産のジュース、地ビール、ワイン、生ハム、地鶏の薫製など充実していてうれしい。

 車体はハイデッカーと呼ばれる高床式で、ほかの列車にはない車窓からの風景を楽しめる。先頭車両ならパノラマビューだ。

 天ヶ瀬駅を過ぎると列車はスピードを落とした。〈右側に“慈恩の滝”が見えます、とアナウンスが〉と、友人がメモに書いて知らせてくれた。乗務員が記念撮影をしてくれるサービスもあり、車内のあちこちで大いに盛り上がっている。華やいだ空気を乗せたまま、列車は由布院駅(大分県湯布院町)に到着した。

 由布院は、全国的に有名な温泉地。私はいつも、小倉から車で訪れていた。九州は、ちょっとドライブすれば気軽に行ける温泉がたくさんある。「九州が好き」と思える自慢の一つだ。

 由布院温泉のゆう出量は、全国第三位と恵まれている。行くたびに新しい宿や店が増え続け、いつも活気にあふれている。タクシーの中で尋ねると、「東北や北海道、海外からのお客さんもいます。“いつかは由布院へ”とあこがれているそうで」と教えてくれた。のんびり走る辻(つじ)馬車や、レトロなデザインの乗り合いバスとすれ違った。

 宿泊は、オープンしたばかりの「SABI亭・祥泉」を選んだ。全室離れで、部屋には、ひのき風呂、露天風呂、五右衛門風呂があり、驚いた。露天風呂にはユズがプカプカと浮かんでいて香りがいい。夕食前に早速、ひと風呂楽しんだ。

 由布院盆地は、秋から冬にかけての早朝、朝霧が発生する。山に囲まれた町は、真っ白な霧で覆われる。観光ガイド本には必ず写真が載っているから美しいことは知っていたが、私は早起きが苦手なため実際に見たことはなかった。夕食中、宿の女性から「朝七時ごろから見られます。きれいですよ」と、笑顔で背中を押され、頑張って起きようと決めた。
Asakiri0
(写真/朝霧に覆われた盆地に温泉の蒸気が立ち上る)

 翌朝、六時前に起き宿のコテージで日の出を待った。町は生クリームがふんわり乗っているかのように白い霧で覆われていた。濃紺の山影から朝日が差し始めると、霧に朱色が加わり刻々と表情が変わる。幻想的な景色を眺めながら、エスプレッソコーヒーを飲んだ。ああ、由布院は何度来てもやっぱり楽しい。
Asakiri2

 (取材 撮影 フリーライター・小椋知子)

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